オフショア開発パートナーの選定で失敗したくない

オフショア開発を考え、いざパートナー探しとなった場合、パートナー選定に失敗したくないですよね。
しかし残念ながらパートナー選定の失敗は高確率で発生します。
ただそれはパートナーの選定の失敗なのか、オフショア開発選択の失敗なのか、自分たちのミスなのか、様々な理由が混ざっているかと思います。
できることは失敗につながるリスクを最小限にすることかと思います。
少しこの点に触れたいと思います(当たり前のことばかりになると思いますが)。

 

いま一度問う、なぜオフショア開発なのか?

これまでも記してきましたが、オフショア開発を検討する際に是非きちんと検討してほしいことがあります。
それは「何故オフショア開発なのか?」ということです。
ここがブレると何が叶えば成功なのかもブレてしまうので、きちんとした検討が不可欠です。
オフショア開発を選択する理由には普遍的なものとしてコストメリットの追及があります。
確かにエンジニア一人あたりの単価比較では、まだ国内エンジニアよりかなり安いことが多いです。
しかし国内エンジニアとは様々な意味で勝手が違います。
なので様々な理由により、時間も人も多く必要とします。
多くのケースで期待のコストメリットの実現のためには、発注企業側の手腕にかかっていることがほとんどで、オフショア企業側が勝手に安く・うまく・素敵にやってくれるわけではありません。
このことを肝に銘じ、「オフショア開発をする」ということを正しく理解し、「何故オフショア開発なのか?」をじっくりと検討する必要があります。

 

自社のレベルはどうか?

「何故オフショア開発なのか?」が定まったら、自分たちのレベルを確認します。
オフショア開発に委託するのは特定の工程か、どうか。
委託するのが特定の工程である場合、その前後工程は誰がどこまでやるのか、委託工程へは何がInputされ、その出来栄え・精度は十分なものかどうか、Outputは何が指定されており、それを誰がチェックするのか。
これらを実行していくのに十分な実力が自社のチームにあるのかどうかを正しく判定をする必要があります。
また委託するのが特定の工程ではなく、丸投げに近い場合は、自社にどんなレベルのチームがいても多分うまくいきません。
ここから不足が見えている場合、オフショア開発を諦めるか、オフショア開発の経験豊富な国内企業をパートナーに組み入れることを検討すべきです。
逆に対応できると判断できるならば、いよいよオフショア開発パートナーを探しに行きます。
 
 

どうやって探す?

いざオフショア企業を探すぞ、となった時、どうしたらよいでしょうか。
ここで必要なのは情報です。
それをどこから得られるか、が勝敗を分けるでしょう。
恐らくは、
 ・知り合いからの紹介
 ・業界団体等のあっせんやセミナー
 ・紹介サービスの活用
 ・ネットでググって探す
といったところが主な情報ソースとなるでしょう。
この中で断トツのおすすめは「知り合いからの紹介」です。
その知り合いがどの程度オフショア事情に通じた方かにもよりますが、大体は自社等で活用実績があってそれなりに評価をしている企業を紹介してもらえているのではないかと思います。
これを活用しない手はありません。
もしそんな知り合いがいない場合、是非コミュ力を発揮してそういう方と知り合ってください。
自社ビジネスに関連する企業にもITは存在し、多くの企業がオフショアパートナーを使っています。
そういう筋からの情報はとても有用なケースが少なくありません。
業界団体等のあっせんやセミナーで得られるのは、その団体に加盟しているというだけの企業になります。
また紹介サービスも同様です。
紹介サービスの場合、そのサービスへの利用企業を紹介してくるだけなので、良いか悪いかを判断するのはどのみちこちらです。
ここはあくまでも候補企業のリストに加える程度にしておきます。
この先はググっていくしかありません。
ググっていくと同様に紹介サイトがヒットしますがこれはあまり信用できません。
「優良企業10社・・・」などと紹介されているものは優良企業だから掲載されているのではなく、掲載料を払ったから出ているのです。
ここもあくまでも候補企業のリストに加える程度にしておきます。
いくつかの候補リストができたら、個別にググって情報を集めていきます。
会社の規模、所在地(アクセスのよいところがおすすめ)、取り扱い技術、目的技術に認定制度があれば認定資格者の数、日本法人の有無などでいくつかピックアップします(少し多めに出した方がいいでしょう)。
プライバシーなどの取り扱い等に制約がある場合はそれらへの準拠もチェックしてください。
ここまでの選別でできたリストがアタックリストになりますので、ここをアタックしていきます。
 
 

オフショア企業へのアタック

ここからオフショア企業とのやり取りが始まります。
会社情報や要員規模、構成、コミュニケーション方法、開発プロセス、管理手法など普通に気にすることを全て聞いてください。
その上で技術の確認をちゃんとしていきます。
そのとき、「××はできますか?」的な聞き方はNGです。
なぜならオフショア企業はその質問に対し、絶対に「できます」と答えてきます。
なるべくレベルを伺うような聞き方をした方がいいでしょう。
その上でその実績を示してもらうことも忘れずに。
またそれができる技術者がどれだけいるのか、案件のコアになる技術の場合は絶対妥協できませんのでキッチリ確認します。
この受け答えから、力量を類推していきましょう。
アタックリスト全社に同じ情報量となるように心がけてヒアリングをしていきます。
 
 

BSE・コミュニケータの日本語力

技術の確認は最大の関心事なので結構しっかりと聞くと思いますが、BSEやコミュニケータの日本語力の確認を必ずしてください。
ここがダメだとコミュニケーションがスタックしてしまいます。
言葉が通じるかどうかの世界なので、なるべくわかりやすく話しをし、質問に対し聞いたことがきちんと帰ってくるかどうかです。
この際発音の良し悪しは後回しにし、会話が成立しているかを重視してください。
日本語の上手な若くて可愛い女性に注意してください。
上手に話せても話が通じているかは別問題です。
多少話し方は下手でも、話が通じると感じる相手を選んだ方がリスクが少ないと思います。
逆にSEの日本語力はあればラッキー程度で、あまり重視すべきポイントではありません。
 
 

ヒアリングではわからないこと

いろいろ聞いたところでヒアリングは所詮上辺のインタビューに過ぎません。
実際にプロジェクトに入ってみると聞いていたのとは全然違う、なんてことは普通に起きます。
それは技術力かもしれないし、日本語対応力かもしれないし、プロジェクト実行能力かもしれないし、様々です。
そんなものだと思って取り組む余裕が必要です。
それらを実案件でいきなり試すのではなく、小規模なパイロット開発などで評価をして最終判断するとより精度が高まります。
もしダメだった場合は上記を繰り返すしかありません。
 
 

直接会うことの重要性

このご時世に何を言っているのかと思われるかもしれませんが、可能ならオフショア企業とは直接会ってやり取りをしてください。
リモート面談でもいいですが、叶うなら直接会うことをお勧めします。
出来ればオフショア企業側に乗り込んで。
以前中国オフショア企業の社長から聞いた話ですが、パートナーを探すとき直接乗り込み必ずトイレを確認することを勧められました。
その社長曰く、トイレが清潔に保たれていない企業にきちんとした対応はできないということでした。
これは例外もあるかもしれませんが、割と核心を突いていると思います。
これまでの私の経験値に当てはめても、この判断は正しかったと感じています。
また会わなければ見えない部分が多々ありますので、よく無駄だと言う方もいますが私は会うべきだと思っています。
とはいえ、今は難しいですね。。。
 
 

パートナー候補の絞り込み

ここまで集めた情報を整理し、パートナーの絞り込みを行っていきます。
既に大部分で判断できているところがある状態かと思います。
ただしなるべく客観的に情報を分析して選んでください。
主観的に選んでしまうと恐らく人に惹かれている部分が少なくありません。
これは実際にやってみたときに一番ギャップを感じるパターンに繋がってしまいます。
必ずしも一番会話をした人が案件の担当になるわけではないということです。
日本語対応力がありそうだと感じたりする誤解もここにあります。
あくまでもBSEやコミュニケータと開発をしていくので、会社幹部や営業担当がうまく会話できたとしても、それはそれ。
そこに求める技術が正しくあるのか、コミュニケーションハブになる人はちゃんとコミュニケーションできるレベルか、プロジェクトの遂行が求めるレベルで管理されているか、などを重視して絞り込みを行ってください。
 
 

どうしても選べない場合

ここまでやっても最後どうしても選べないという状況の場合、私どもの活用を検討してください。
オフショア企業側の人間ではありませんので、ニュートラルに見て判断することができます。
また既に知っている優良企業をご紹介することも可能です(ただしこの方法はあまりオススメではありません)。
 
 
 
苦労して選定したパートナーとのやり取りは、こちら側も自然と熱が入るものです。
ひたすらドキュメントを作成し送り付けるのではなく、是非会話を重視してください。
オフショア開発プロジェクト成否の肝は「目的共有」です。
これがしっかりできていれば、その他のやり取りは多少何かが不足したり、間違ったとしても目的によって自動的に補完されます。
目的共有がなければ、ひたすらドキュメントを作り続け、足りない何かがあればまた補足を追加し、間違いにはこちらが気付かない限り誰も気付くこともなく、出てきた成果物を見て指摘をしても、「ドキュメントにはこう書いてある」「ドキュメントには記載がない」的なやり取りばかりで双方疲弊していくこと間違いなしです。
是非とも目的共有を重視し、会話を多くこなしこちら側の熱をちゃんと伝えてください。
いいパートナーに巡り合うことを願っております。